< 欄間 >
< 大まかな工程 >
実際はそれぞれの工程の間にいくつもの細かな作業が必要です。
枠入後にも、まだ彫り込まなければならないところが残るので最終仕上げをして完成となります。
使用する木は乾燥したものがあればベストですが、特にクスノキであれば完全に乾燥させるにはとても年月が掛かるため、ある程度の状態から彫りながら乾燥させて行きます。
外は乾いていても中は水分を含んでいるものです。
( 木取り、墨付け、図写し、糸鋸で抜く、荒落とし ) の工程後から載せてあります。
< 荒彫り >
表側荒彫りが済んだ状態
材はクスノキで、一寸六分(約4.8cm)の厚さです。
裏を彫る
まず表の図を見ながら慎重に図を描いて行き、場所により表と図を変えます。
全体に図を描いたところ
裏側の右部分荒彫り
荒彫り済
< 縁の仕上げ >
まずは縁を突いていきます。
欄間を縦に起こしてハタガネで動かないようしっかり固定。
鑿の裏丸で、墨付けした線を基準に突いて行く。
裏丸で線まで下げたら、平鑿で一削りして仕上げます。
この突き鑿は鍛冶屋さんに注文して打ってもらったもので、幅が一寸八分あります。
主にこの鑿を使い、入らないところは幅の狭い鑿や小刀を使って仕上げます。
< 仕上げ彫り >
二枚とも縁を突いたら、いよいよ仕上げをしていきます。
まずは松葉。高いところから低いところへ順番に。
最後に松葉の先を割る。
これで先の部分がかなり欠けやすくなるので注意しないといけません。工程に差し支えないところは後にする場合もあります。
< 裏へ回って仕上げ >
< フクロウの仕上げ >
フクロウは他の鳥と違って目が正面にあって遠近感をより把握できるようになっています。
ちなみに脚の指が後趾と内趾、中趾、外趾と四本あり、一番外にある外趾は、後ろの後趾側にもどちらにも持って来られるようです。
羽を一枚一枚彫り込んで行きます。収まった時、ボケてしまわないように基本的には一枚の羽を大きく段差を強く入れますが、今回は細かく柔らかい感じにします。
左に移動しながら
表と同様に最後に幹の表皮を彫り込む
< 向かって右の欄間の仕上げ >
< 裏側の仕上げ >
このあと補強の{つなぎ}を外し、枠からこぼれたところを彫り込み、仕上げて完成です。
< 完成 >
長さ 5尺6寸5分、 高さ 1尺3寸5分、 厚さ 1寸5分
材はクスノキ、枠材は杉です。
裏側