彫刻の図案というのは絵画とは少し違います。自分が思う良い構図やお客様のご要望に基づいた上で描くわけですが、ただ描くだけでなく彫刻するための図にしなければいけません。やり方にもよりますが、例えば「鳥」を描く時でも、完全に宙に浮かせるわけにはいかないので、雲や霞を描くなどしてどこか一部分でも触れさせるようにして持たせ、離れていかないようにするなどいろいろなことを考えます。また、祭りの山車の彫刻と家の欄間では力の加わり方が違うので、それぞれ強度を踏まえた上で考えます。
立体では正面だけ出来ていれば良いということではなく、どこから見ても良いようにしなければいけません。そのため彫る段階でも、上や横からの見たときのこと図が必要になるため、そこも考えておく必要があります。
図を自分で考えるのはむずかしいですし時間の掛かることなんですが、自分の思ったようにいくらでも考えることができるので面白みがあり、そこが良いところです。