2015年
1月
07日
水
原本を板に写して彫り始めます。
なるべく揮毫した方の意を汲むような形で彫り込見ますが、字のにじみの多い場合があり、そういった時は事前に確認が必要で、どこに線を通すかで字の印象が全然違って見えるのです。
2015年
1月
16日
金
彫り下げた字の部分に金箔を押すための下地としてカシューを塗ります。
まずは染み込む量が一番多い一回目を緩めに溶いたもので塗り、完全に乾いてから二回、三回と重ねます。
画像は三回目の塗りが済んだところ、下地が出来たら金箔を押します。
2015年
2月
01日
日
これはお寺の向拝虹梁の上にある短い柱(大瓶束)の左右に付く「笈形」(おいがた)と呼ばれる部分です。直接力が加わる部材では無く装飾のためのものと思われます。
今回は庫裏に取り付けられるもので、持送りと一対ずつ彫ります。
2015年
2月
02日
月
図を写してから輪郭で落とし、道具を研いでから彫り始め。
高さ一尺、長さ三尺あるのでなかなか彫り甲斐があります。
この笈形のモチーフが雲で、持ち送りは水波です。簡単なもので良いということでしたのでシンプルにしました。
2015年
2月
05日
木
裏からも同じように図を写して彫り始めますが、少し図を変えます。
神社やお寺にお参りする時に、拝殿の中は見ても頭を上げて上の方を見る人は少ないかと思います。ましてその裏面を見るのは社寺彫刻関係の仕事をしている人以外はごく僅かかもしれません。興味がなければ当然のことで、風景として見ることが多いでしょうね。
自分自身も見ることは見ますが何となくで終わることも多く、後で見直す機会があった時にわからなかった意匠に気付くなんてこともあります。よくよく見ればさりげなく洒落ていて、手間を掛けているなんていうのは格好が良いですね。
予算や手間のことを考えなければなりませんが、残って主張するのはそのものです。頑張って良い仕事をしたいですね。
2015年
2月
11日
水
裏からも同じように図を写して彫ります。
図に描いてはあるものの実際に彫ってみて、ここはもう少しこうして、、とか、上げ下げを逆にした方が、、などと出てくることもあります。
また一回目より二回目、二回目より三回目と慣れて行くもので要領もわかって来ます。
2015年
2月
24日
火
(←)笈形
虹梁の上に大瓶束という短い柱があり、それを挟んで両側に取り付けられます。荷重が掛かる部材ではなく装飾的なものです。
高30cm、長90cm
2015年
2月
28日
土
額の制作です。
まずは材料の選別から木取りをします。今回は字の大きさを基準として考えるため、それに合わせた寸法の木を探します。
なかなかちょうど良い木というのは無いもので、大きな板から取るか厚みを落として取ることになります。板ですので木が動き易く、ねじれが生じてもうまくありません。良く乾燥した素姓の良い木を使います。
2015年
3月
15日
日
先日、茨城の潮来市まで山車の彫刻の打ち合わせに行って来ました。思い返してみると茨城に行くのは初めてかもしれません。
関越道から東京外環→常磐道→首都圏連絡道というルートで行きましたが案の定道を間違えてしまいました。いつの間にか高速を下りてしまい、慣れない道を行ったり来たり。高速のジャンクションは嫌いです、、、
印象に残ったのが茨城に入って見えた牛久大仏、あれが牛久大仏かと思いながら見ていると上の方はまるで霞がかかったよう。よくあんな大きなものを作ったものです。驚きました。
なんとか約束の時間には間に合い13時過ぎから打ち合わせを始めました。山車を見させていただいて代表の方とお話するつもりでいたのですが、町会長さんはじめ町内のみなさんが何人も集まって下さっていました。ありがたいことです。こういったところでも掛ける思いを感じます。
潮来市は祭りの盛んなところで千葉の佐原の祭りとの関係も深く、山車の上に大きな人形が乗っているのが大きな特徴です。町内ごとに神話や源平など主題とするものがあり、それにまつわる彫刻が入っています。
今回も町の主題にちなんだ彫り物を彫るということで山車蔵を開けていただいて実物を見ながら話し合いをしました。やはり実際に見て直接話さないことには始まりません。
しっかり寸法も測って構想を練ります。
また佐原の山車会館へも一緒に行っていただいて先人の作を拝見。
良い物を見させていただきました。
まだ仕事に掛かるのは先になりますが、皆さんの思いを感じ自分としても良い物を彫りたいと改めて思ったところです。
2015年
3月
20日
金
裏側には壁に掛けられるよう細工をします。結構重さがあるので太めのコーチスクリューを少し加工して二か所で落とし込むようにします。
鍵穴状の部分から末広がりに切り込まなければならないためケヤキでやるのは大変です。
2015年
4月
02日
木
これから五月人形として金太郎を彫って行きます。
金太郎は坂田金時の幼少の頃の名前ですが、途中成長するまでの話がいくつかあるようです。
酒呑童子退治の話にも出て来ています。
2015年
4月
05日
日
なんとなく感じが見えるでしょうか。
前掛けをどうするべきか迷いましたがやはりトレードマークの印象が強そうなのでしっかり付けた格好にしました。
2015年
4月
11日
土
仕上げの段階に入っています。
赤ん坊の写真などを参考にしながら進めて行きます。
イメージとしてはあるものの、大人とは全然違い、各部分が短くふっくらとした体付きで柔軟。
2015年
4月
12日
日
先日仕事の段取りのために富山へ行って来ました。今話題の北陸新幹線ではなく車です!
富山へ行ったのは一年半ぶりくらいになりますか、久しぶりです。
高速に乗って関越道から上信越道に入ると徐々に妙義山が見え、どんどんと迫って来ます。そのまま右回りにずうっと迂回して行きますが、見慣れないシルエットと迫力に別の世界に来たような気持ちです。
この日はあいにくの天気で霧のような雲とうっすら山に降った雪もあり余計にそんな感じがしました。
トンネルを抜けるごとに天気が変わるようでしたが、道中ところどころに桜が植えられておりとても綺麗でしたね。
2015年
4月
16日
木
これは台座部分です。
やはり金太郎と言えば鯉ということで、金太郎と一緒に彫るか、衣装の柄か何かに入れようかと考えていましたが、今回は台に波と共にデザインしました。
角を取って側面を太鼓のように丸くして薄肉彫りで彫ります。
2015年
4月
23日
木
今年の春はなんだか天気が良くない日が続きましたが、ここ何日かで一気に若葉が芽吹いて山が柔らかい緑になって来ました。
太陽の光が当たると鮮やかで気持ちがいいです。
2015年
4月
29日
水
富山へ行って作業して来た板が糸鋸屋さんから届きました。
さすが素姓の良さそうな木で、北陸と関東の湿度の差で割れが心配でしたが大丈夫そうです。
楠はなかなか乾きにくい木で、このように厚い板で乾燥材を見つけるのは大変です。
たいがい糸鋸で抜いて、彫りながら乾燥させて行きます。
この木も丸太から三枚挽いたものの一枚でまだ水分を含んでいる状態。
見当は付けてありますが、この段階でも少し木が痩せました。
とりあえずはじめの段取りは良いですが、ここから大変です。
2015年
5月
02日
土
まずは全体の縁の部分を下げて行きます。
木が動くかもしれないので今の段階で全ては外せませんが、仮枠があると彫りづらいので一か所ずつ外しながら作業したいと思います。
2015年
5月
20日
水
荒落としと言う作業で大きく上げ下げをし、その後徐々に彫り込んで行きます。
(←)松の葉も何段階か工程があり、これは芯を出したところ。
2015年
5月
27日
水
手や目の届かない部分を彫るために周りを回りながら作業。
欄間の幅があるため、手を伸ばしての作業が辛い部分があります。下から見るものなので上側から見当を付けて彫るのは難しいところです。
出来るだけ下側からの目線で彫り、上から補います。
2015年
6月
05日
金
表と照らし合わせながら図を描き入れて行きます。基本的に表で一番奥のものが裏では手前、表で顔が見える人物は裏では背中という具合になります。
表だけとは違い、裏からも彫るというのは大変です。
2015年
7月
14日
火
お寺の欄間で唐狭間(からさま)と呼びます。
図は恵比寿大黒で縁起物です。約高さ60㎝、横幅129㎝、厚み9㎝、クスノキ材で彫り上げてあります。同じ埼玉県のお寺に納めたものです。
2015年
10月
15日
木
荒彫りの状態でずっと奥にしまってあったものに久しぶりに手を入れました。
三年ほど経ったでしょうか、久しぶりにじっくりと見て少し懐かしさもあります。
今もそう変わりはしないのですが、当時の甘さを感じながら修正、小彫りを進めます。
依頼してくださった方と初めてお話したのは たしかちょうど一年前。関西のお祭りに行っていた時にお電話頂いたのでよく覚えています。
お住まいが関東ということもあり、その後わざわざ工房までお越しくださいました。
恵比寿大黒のご相談で、たまたま荒彫りのまま置いていた二体の大きさが良いと仰って頂き、それから早一年。お待たせしてしまって申し訳ない、心を入れた仕事を怠らずなるべく早くに納められるように彫るのみです。
2015年
10月
19日
月
三か月振りのブログ更新となってしまいました。しばらくの間とても更新する気持ちになれず、その上気持ちは急くばかり。ここ数カ月を振り返れば、春時分からバタバタと内容と日程共に大変であった仕事を納め、そのまま関西へ夏中出張、帰って来てからも何かと追われ、自分の力の無さを痛感致しております。
お世話になっている皆様に申し訳ないですが、今年の出品数は寂しいものになってしまいそうです。
2015年
11月
18日
水
巣鴨 高岩寺会館でのグループ展に大黒天像だけ出させて頂きました。毎年なるべく新しく彫ったものをと思っておりましたのでご了承頂いて助かりました。
2015年
11月
30日
月
今年も残り一カ月。お盆、暮れ、年度末と区切りが順番にやって来ますね。事務的な仕事も併せてやり切らねば。
今年最後は天皇の初代と言われている神武天皇を彫って行きます。
...いや途中で干支もありますか。
以前彫った大国主像を元にして、今回は正対で前を見据える格好になります。
2015年
12月
10日
木
ある程度形が出て来ました。
環頭太刀は別に作り、首飾りは彫り出します。胸のボリュームを残しつつ徐々に落ち着かせます。
昔の日本人ということでイメージしましたがもう少し頭と肩幅を小さくしても良かったかもしれませんね。
2015年
12月
17日
木
仕上げの始めは台座の裏の鉋掛け。
平面に気を付けながら足の位置を決めて行く。
思った以上に地が下がり、裾の位置が高くなってしまわないよう少し余裕を見ておくことも必要です。
2015年
12月
22日
火
手に掛かって行きます。
太刀が腰にあるため一部を手と触れさせたまま透かせるところは透かします。
裾の中の腕とのつながりを見ながら順に彫り込みます。