2014年
2月
10日
月
先日の大雪にはびっくりしました。まさかここまで降るとは.....
普段の景色と違って変な感じで、富山にいたころを思い出しました。
そして、こうなるとやむなく方々の雪かき。半日かかって大変でしたが、日が出れば屋根の雪などさすがに溶けるのが早い。体を動かしたのと景色とで少し気分転換になったような気もします。
本当春が待ち遠しいです。
2014年
2月
12日
水
先日納めた手挟(たばさみ)について載せます。
手挟とは、向拝(本堂や拝殿から前に出た部分)の屋根を支える向拝柱と垂木の間に取り付けられる部材です。
(←)写真の楕円の部分です。
普段意識せずに参拝していると、なかなか気付ない部分ではありますが、「鶴に松」「鷹に松」「牡丹」「菊」「水波に亀」など、手の込んだ様々なものが彫刻されているところもあります。
富山県南砺市井波町にある瑞泉寺太子堂の手挟は、「雲水龍」「桐に鳳凰」の図で一木から彫り出す透かし彫りが施された素晴らしいものが入っています。
工房が門前だったのでなにかと見に行っていたのですが、さすがにやはり鐘楼堂から何から本当に良い仕事のものばかりです。
彫刻を始めてから年月が経つにつれて益々そういった印象を受けます。
2014年
4月
03日
木
これから不動明王を彫るために、この榧(カヤ)を使います。
8 世紀後半(奈良時代)から10 世紀(平安時代)にかけての主要な一木造りの仏像は圧倒的にカヤが多かったようです。
1998年のMUSEUM No.555には、実物の部位から採取された試料の走査電子顕微鏡および光学顕微鏡観察に基づく木材樹種識別結果が報告されており、奈良の唐招提寺の如来立像、十一面観音立像、伝衆宝王菩薩立像、伝薬師如来立像等、大安寺の十一面観音立像、聖観音立像、伝馬頭観音立像、広目天立像等、神護寺の薬師如来立像、元興寺の薬師如来立像の17 体の全てがカヤ材だったそうです。
カヤという材は均質かつ緻密で甘いような香りと光沢があり、碁盤や将棋盤に賞用されています。
淡黄色で木目は目立たずも存在感がありとても美しいものです。これから徐々に彫り出していくわけですが、自分としても仕上がりが楽しみです。
2014年
6月
05日
木
先日無事に大阪梅田の展示会を終えることが出来ました。
都合をつけて来ていただいた方々、協力してくださった方々、皆様どうもありがとうございました。
私が在廊したのは後半の1、2、3の一部だけでしたがその間もほとんど途切れることなくお客様に来ていただき、今までフェイスブックなどでやりとりをしていただけの何人かの方とも実際にお話することが出来ました。
新しい繋がりも出来ましたし、作家それぞれに成果もあり良い機会となったと思っております。
今回の展示会メンバーの中にはほとんど面識のない方もおり、作風もまたそれぞれでしたが木彫ジャンルのコラボということでとても面白かったと思います。
共通テーマとして作った「猫」も作家の個性が見られて作り手側からしても気になったところでした。
2014年
6月
13日
金
昨日、埼玉県飯能市で開催された地域活性化のための講演会へ行って来ました。
タイトルは、地域を学ぶ講演会 第一回市民公開講座「飯能の輝く三十年先を考える」主に飯能の林業についての話です。
講師は東京農業大学教授 木村俊昭氏と、ゲストとして関東農政局長 末松広行氏。
実際に拝聴して、タイトルなどから受けた印象よりずっとわかりやすく、面白く感じ、そのまた一方で考えさせられました。
表面的でなく深いところで何を考えるべきなのか、先を考えて行動する意識を皆で持つことが重要だと感じました。
こういったところで良いリーダーも必要ですし、いろいろな考えがある中で進む方向を決め、納得理解してもらうということは本当に大変です。
中でも、先を考えるというところで子供たちの教育のためのキッズベンチャー(子供の頃からまずは身近な地域、社会のことを知るための取り組み)という、自分たちで役職を決め、「何をしたいか」「そのためにはどうするのか」を考え、地元の会社を回り、教えてもらいながら学んで行く授業や、地元の人を講師に親も祖父も一緒になって授業を受ける。というような活動はとても意味のある、必要なことだと思いました。
皆で一緒になって動くということ、ということはとても大事なことですね。
2014年
8月
23日
土
オオクニヌシ像 仕上がりです。
神話の中の一場面で、兎を助ける様子をあらわしている島根県出雲大社の大国主像を参考にしてあります。
独特の服装と美豆良(みづら)と言われる顔の横で髪を束ねた格好をしています。
大刀を手にして前へ踏み出そうという心境のイメージで彫ってあります。
高さ23cm
クスノキ材
2014年
8月
26日
火
プレゼントのための壁掛けの依頼を頂いたので図を考えます。
エキゾチックなモチーフで、普段脱力しているであろう格好もなかなかひょうきん。
アフリカツメガエルという名前のカエルです。
思い入れのあるカエルなのでしょうから特徴を押さえつつしっかりまとめられればと思います。
2014年
9月
05日
金
地を下げてメインのカエルとその周りの葉を出します。
何事もそうですが下仕事が大事です。
そしてだんだんと崩して上げ下げ、それぞれの位置を決めていきます。
2014年
9月
06日
土
ある程度上げ下げと小彫りが済めば、次に余分な部分を取るように、斜めに突いて透かして行きます。
この作業で見た目も軽くなり仕上がりのイメージもし易くなるところ。
2014年
9月
08日
月
仕上げの段階です。
今回このようなレリーフ、というより半立体のかたちにしたのはいくつか理由があります。その一つとしては主題の蛙の手の細さです。後ろ足は水かきがありますが、前足は独立した四本指です。
やってやれないことはないですが、これを透かし彫りにすると強度が足りなくなってしまうのです。
やり方として透かすにしても、手の部分に葉をあしらったりすれば可能ですが、それは他の理由に掛かって来ます。
この蛙についてはアフリカツメガエルという種類の蛙で名前の通りアフリカ原産です。
乾季には泥の中で夏眠し普段は水中で生活をするよう。この図も水中をイメージしてあり表現がむずかしいところです。
2014年
9月
11日
木
今回の壁掛けのやり方は一枚の板に図を写して、その図以外は下げて地を作り、一段上がった図部分を半立体として彫っていくものです。
これは部分によっては立体で丸々と彫り出せるので奥行きが出せますが、同時に面が増え、地板を残したやり方をする場合は作業が難しくなります。
木には目があるため出来るだけ順目の方向に削らなくてはなりませんし、細かな場所も高さに揃えるようにします。地味な作業ですがなかなか根気のいるところ。
葉やカエルの絵を取り除けばフラットな板となるように綺麗に地を鋤くことを心掛けます。
2014年
9月
26日
金
これから不動明王を制作していきます。
まずは角材から必要な寸法に木取りです。
材はカヤノキ、角度によって光が反射する黄色味掛かった美しい木です。
惚れ惚れするような感じがします。
木である以上節があるのは当然ですし、割れるのも生きていた証拠というか性質上仕方のないことです。立ち木から丸太、材となり使われるまで100パーセントのままというわけにはいきませんが、他の部分で使ったり取れる小さな材で出来るものを考えるなど出来るだけは使いたいものです。
贅沢なことですが、良く乾燥させた材からさらに割れや節を避けて行くと使える部分はかなり少なくなります。今回も特に顔の部分に柾目が来るよう吟味して挽きました。
2014年
9月
27日
土
本体と光背、台座に必要な材料を選び木取りをしました。
本体は輪郭に沿って帯鋸で落としておきます。
荒く挽かれた肌に日焼けと埃等でくすんだ角材の状態から、機械を掛けていくうちに、綺麗な黄色い木肌と甘いような芳香が立ち籠めます。
2014年
9月
30日
火
糸鋸で抜いた光背から彫り始めて行きます。
初めにしゃくるように大きく鑿で取り、細かく彫るのはそれから。
全体で内側に向かって湾曲している状態です。
玄翁で叩き彫りをするというより、鑿を使って彫り込んで行くという感じです。
2014年
10月
02日
木
先日、京都市北区上賀茂にあります上賀茂神社へ行って来ました。通称が上賀茂神社で賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)というのが本当なのだそうです。
ちなみに平成27年には遷宮です。
2014年
10月
11日
土
今年に入ってからかフォークリフトのシリンダーからオイル漏れがあるのは知っていましたが、最近漏れがひどくなって来ました。
傾きを調整する左右のシリンダー部分からの漏れで、停めておくだけでも地面に溜まるくらいの勢いです。
いよいよまずいと思い調べてみると1980年10月式ということ。自重1540kgのトヨタ製です。一瞬思ったより新しいと思いましたが、三十四年経っているのでかなりの旧式です。タイヤはひび割れ、溝は摩耗でツルツルです。最近の電気式のスマートなフォークリフトとは違いますが、私が生まれてからずっとあるので愛着はありますし、なかなか良い格好をしていると思っています。
2014年
10月
14日
火
だいぶ形が出て来ました。
前回より一回り小さいので、腕と体の間や部分の隙間などが狭くなっていて鑿が入りにくい。
小道具を使って進めて行きます。
2014年
10月
17日
金
まず光背から仕上げて行きます。
カヤの木はとても削り易いですが、この光背のように木口が多くある時はなかなか大変です。
表側から垂直に突いた時に裏で欠けないようにあらかじめ裏から面を取っておきます。
2014年
10月
19日
日
これが一通り手を入れたところ。
少し時間が経っていたので一削りすると色が明るくなります。
木目によってもユラユラと燃えるような感じに見えれば良いですが、、、
あとは台座に挿し込む為のホゾをしっかりと作ります。
2014年
10月
27日
月
今年もこの季節がやって来ました。
毎年秋は何かと忙しいです...
七人による展示会を以下の日程でとげぬき地蔵さんでお世話になります。
「工燈ノ集イ」
<会期>2014年11月12日(水)~11月16日(日)
開場 11時~18時まで
<場所>とげぬき地蔵尊高岩寺 高岩寺会館 一階ギャラリー
170-0002 豊島区巣鴨3-35-2
何かメインとして一つでも出せれば良かったのですが、ズルズルと時間が過ぎてしまい作れず終いとなりました。あるとわかっていることですから余計に不甲斐ない。毎年の課題とします。
やむなく今回は以前作ったものと来年の干支も含めて小品を何点か出す予定です。
ちなみに来年の干支は羊、実はまだ途中なので最後の仕上げを頑張ります。
2014年
11月
17日
月
今年も昨日で無事展示会を終えました。
お忙しい中お運びいただいた皆様ありがとうございました。
期間中は曇りで寒い日はあったものの最終日などは気持ち良く晴れた良い日で終えることが出来ました。
最終日は出品作家も多かったため作家自身で説明などなど。
作り手がどのような思いで作ったのか、どのような意味があるのかなどを知るとまた違って見えるものです。
出品者七人のうち半分程は一年に一度くらいしか会えませんが、この機会にいろいろと刺激をもらいます。
今回も自分にないような発想や技術で勉強させてもらいました。
本当欲しいものもありましたし、、、笑
2014年
11月
27日
木
全体のバランスも大事ですが、顔の表情を決めるというのは緊張します。
一つのものを完成させるまでにそのものと向き合っている時間は本当に長い。こうやって手の中で彫り進めて行くうちに思いが入るということはあるでしょうし、人の作品を見る時も彫り跡などから思いを感じるということがあります。
おもしろいもので同じ図案で彫っても人が違えば同じにはなりません。それぞれの個性と解釈で違った作品になります。
たとえ同じ人が彫ったとしても良く似てはいるものの全く一緒ということはなく、そもそも素材の木自体がただ一つです。
そのものが作られた背景、意味、かかわった人、思いなど、ただ見ただけではわからないことも含めて一つの作品なのだと思いますし、そのことを知った上で見るとまた違って見えますね。
2014年
11月
30日
日
顔の彫りが済んだところです。両目を開き、両狗牙上出で牙を上唇の上に出している形です。まだ眼を入れていない状態ですが完成像が見えると思います。
辮髪を左肩に垂らしているため顔を彫り上げると同時に髪、冠、首周りを仕上げます。
2014年
12月
12日
金
尊い樹齢の米ヒバを使い、全体に丸みを持たせて仕上げました。
木自体の色がやわらかい黄味をしているため優しい印象になっていると思います。
毛並みは横に通したノミ跡で表現しました。
高さ9cm程です。
2014年
12月
12日
金
先日、親類と家で酒を飲んでいた時の話。
自分は仕事終わりの途中からの参加、祖父母とそのいとこのオジの話を聞きながら食事をする格好でいました。
自然と昔話になり、先祖のことからこの地域の変遷、子供時分のことなど話は膨らみます。近代、急激に生活が変わった今、最近生まれたような人からは想像出来ないような話でとても興味深く、考えさせられました。その時を生きていた人の実体験ですから聞くべきことです。
その中の一つで、そのオジが子供の頃の話。近くに「蛇塚」というところがあり、蛇塚というだけあって本当に蛇が多く出て嫌だった。ということを聞きました。一歩進むごと、一メートル行くごとに次から次へと出てくる。五十メートル進むのに何十匹も出たと言っておりました。どこまで本当か酔払っていますし昔の話、話半分鵜呑みには出来ませんがとても面白い。
そしてそこから話は蛇のことになり、そこで「セヨリ」という言葉を聞きました。耳慣れない言葉でなんだろうと思っていると、どうも春頃に蛇が交尾のためにうじゃうじゃと集まっている様子のことを言うようでした。
どういう字を書くのか、そもそも方言なのかわかりませんが自分の親も知ってはおりませんでした。
この辺りは山間部なので蛇は出ますが昔よりは見る機会は少ないでしょうし、蛇の交尾となると尚更です。祖父母も一回見ただけということでした。そのことを指す様子自体見ることが無いのですからセヨリという言葉は使われることも無く、消えようとしている。死語が増えて行くのはとても悲しい気持ちです。時代がそう遠くないので尚更でしょう。
もう八十のそのオジが言っておりましたが、俺のお祖父さんが良くいろいろと話をしようとしていたが、子供にとってみればそんな面白くない話など聞きたくないし、後で後でと聞かずにいたんだが、今となっちゃあわからないことを色々と知っていたんだろう、教えておこうと思ったんだろうと話しておりました。
確かに自分でも思い当たる節は多々あります。また聞けば良いと、聞かず終いでわからなくなることが沢山あるでしょう。ただそれではあまりに寂しく情けない、改めて聞いておくべきだと思ったところです。
2014年
12月
14日
日
台座に花菱の地紋を彫り込みます。狭い範囲のうえ小さいため彫りにくいですが彫り方は一緒です。
同じ文様の繰り返しなので順番に小刀を入れて行きます。
2014年
12月
28日
日
先日、京都 六波羅密寺様で施主様と一緒に不動明王の開眼法要をして頂きました。
空也上人像や平清盛像、地蔵菩薩坐像など有名な仏像が数多く安置されているお寺で平家ゆかりの地でもあります。
まず客殿でご住職とお会いしてから本堂へ。